前々から楽しみにしていた、シネマ歌舞伎を札幌シネマフロンティアで観た。
シネマ歌舞伎「連獅子」(予告編)
松竹:シネマ歌舞伎「連獅子/らくだ」予告編・配役とみどころ
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/renjishi/index.html
何枚か持っていたサービス券が使えるかな・・・と思って持って行ったが、
ここ札幌シネマフロンティアではこの作品は特別料金2000円で設定されていて、サービス券や優待制度は使えなかった。
すっかり財布のヒモが固くなってしまっているいまの懐具合ではちょっと勇気がいる値段だが、観たい気持ちに代えられずチケットを購入。
松竹のウェブを見ると上映箇所はさほど多くないようだが、幸い札幌で2週間上映してもらえたのはとてもラッキーだった。
その2週間の上映期間も残すところあと2日。
1日2回の上映でその後の方19時からの回で観る。
250人ほどのキャパのシアターだが、この回は私以外は女性ばかりで20人ほど。
とてもゆったりした気分で観ることができた。まるでプライベートシアターのようだった。
今日はレディースDayで1000円の日に特別料金2000円を払って観る女性はこの作品に期待をしている人が多いのだろう。
普通の作品上映だと、本編とは関係のない広告や「映画泥棒は犯罪です・・・」というPRが延々と続いて飽き飽きすることがあるが、今回の上映ではそうしたものは省かれていたのがとても良かった。
そう、あの「映画泥棒は犯罪です・・・」という広告の趣旨はわかるけれど、そのことを弁えて観に来ている(つもりの)私にとっては興ざめしそうな時間なのだ。
さて。
本編は、らくだ→連獅子の順番で連続上映された。
トータルで2時間弱。
まずは「らくだ」だ。
らくだ(落語)wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%89%E3%81%8F%E3%81%A0_(%E8%90%BD%E8%AA%9E)
江戸のある貧乏長屋が舞台になる。
らくだの馬太郎と呼ばれる男が死んで、その弔いを出さないと・・・と兄貴分の半次が、たまたまやってきた屑屋(回収業者)の久六と大家の家に押しかけるという話。
兄貴分の半次(坂東 三津五郎)が、屑屋の久六(中村勘三郎)にらくだの馬太郎(片岡 亀蔵)の遺骸
を背負わせて大家の家に押しかけるくだりがめちゃくちゃおもしろい。
私もゲラゲラ笑ってしまったし、ほかのお客さんが笑う声もあちこちから聞こえていた。
長回しのセリフをよどみなく、丹田に力を入れて発声をするその所作もアップで映されるのでより圧倒的に伝わってくる。
長屋のばあやや大家の女房などなど数人の女形が登場するが男性が演じているとは思えないリアルさを感じた。本当に演技が素晴らしい。
3幕1時間ほどの舞台だが、ドタバタ展開のおもしろさも存分に堪能できるし、鍛えられた声と所作をじっくり観ることもできるし時間が経つのをまったく感じさせない。
私はきちんと歌舞伎を観たことが生まれてから今まで一度もなかった。
そんなレベルなのだが、まずこの「らくだ」で今まで歌舞伎に持っていたつまらないとか冗長なというイメージが吹っ飛んでしまった。
なんやこれ、めちゃくちゃおもしろいこともしてるやん!
「らくだ」が始まってから口をあんぐり開けてスクリーンに見入っていることに途中ハッと気づいたくらいだ。
そして、つぎは「連獅子」。
1時間近くのこちらは私がいままでイメージしていた歌舞伎の舞台だった。
「イヨ~ッ、ポン」みたいな。
で、確かにイヨ~ッポンだったが、これにも圧倒された。
まず素晴らしいと思ったのは、所作だ。すべての動きがとても美しい。
後ろで楽器や鳴り物を鳴らす奏者の方のひと所作ひと所作のなんと美しいこと。
それと丹田に力を入れての見事な発声。
鼓や足を踏みならすタイミングがピッタリ決まるときのピーンとした空気。
それに「高麗屋ー!」などなどお気に入りの役者が所作を決める瞬間に観客が声を入れる阿吽の呼吸。すごいなぁ、舞台と観客が一体となっているぞ。
山田洋次監督は、大切なシーンについては稽古時に舞台にカメラを持ち込んでアップで撮影をしたりしていたようだ。
だから、いちばん前の観客席でかぶりついて観る以上に迫力のあるシーンを再現することができていると思った。
このシネマ歌舞伎の魅力は「臨場感」にあると思う。
このシネマフロンティアにある12のシアターのうち2つのシアターにしか対応していないデジタル作品上映で映像はとてもきれい。
シネマフロンティアの宣伝にもあったが、何度上映しても画質が劣化しないのは素晴らしい。
それと音響。
セリフや楽器や鳴り物の音がスクリーンのまさにそのポイントから聞こえてくる迫力に身を乗り出してスクリーンに食い入ったことが何度あったことか。
あっという間に2時間近くの上映が終わる。
最後もキャスト・スタッフのエンドロールがさっと流れるのみ。それもシンプルな感触で良い。
これだけ上質な芝居を観ることができて2000円で観られるなら私は大満足だ。
アップで所作や表情を観ることができるシネマはとても魅力だが、ライブでしか味わえない場の雰囲気をぜひ機会があれば歌舞伎場で体験したいと思う。
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